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作中で演劇が話題になる場合の、その演劇のあらすじの扱いは? (No: 1)
スレ主 ドラコン 投稿日時:
ドラコンです。連日の投稿、失礼します。
下記スレッドで質問した通り、「鉄道が存在する中華ファンタジーでの、天性の無邪気少女皇后の話」を書きたくなり、後述の通り、一場面を軽く書いてみました(まだ細部は煮詰まっていませんが)。
「中華ファンタジーの過去ネタ焼き直しについて」
https://www.raitonoveru.jp/counsel/novels/thread/13039
●今回の話のあらすじ
1、主人公の皇后(銀鈴)が、侍女に誘われて、コオロギ相撲賭博をして侍女共々逮捕される。しかも、後宮内では「蟲毒・呪詛をやっている者が居る」とのウワサの原因にもなる(ただし、蟲毒・呪詛は冤罪)。
2、高圧的な取り調べを受ける(法廷コント)。
3、牢内で、二百数十年前に、側室の嫉妬から投獄され、獄死した皇后の幽霊が現れる。そして、銀鈴は幽霊皇后に気に入られて、取り付かられる。
「真犯人の居ない(事件自体が起きていない)冤罪事件の立証方法は?」
https://www.raitonoveru.jp/counsel/novels/thread/13078
牢屋に入れられた皇后・銀鈴と侍女二人が、自分たちが出演した演劇を話題にしています。作中の後宮は、「劇団」の面が強いです。それに、「裏設定(?)」では、この劇≪新人女官伝(仮称)≫は、銀鈴に取り付く幽霊皇后を獄死させた側室の後日譚、です。
そこで質問です。下記の通り、作中で演劇が話題になる場合、後述の≪新人女官伝≫のあらすじは、まとめて≪新人女官伝≫初出時に書いたほうが良いのでしょうか? それとも、セリフの合間に、そのとき必要な分だけ、地の文で挟み込んだほうが良いのでしょうか? ご教示いただけませんか?
●牢屋の一場面
「銀后さま、申し訳ありませんでした。私たちが誘ったばっかりに」
≪侍女A≫と≪侍女B≫は、銀鈴の前で正座し、深々と頭を下げた。
「何よ、改まって? いいの、いいの。面白くて、やったのはわたしだし。それに、わたしのほうこそ、ごめんなさい。わたしが一緒でなければ、怒られるぐらいで済んだのに」
そう言って、銀鈴は≪侍女A≫と≪侍女B≫に向かって頭を下げた。
「それに、皇后扱いしないでよ。予審でも『吟味と処罰では皇后扱いしない』と言われたし、そもそも皇后の自覚ないし」
銀鈴は、胸元に視線を落とした。
「今のわたしは二人と同じ、裁きを受ける罪人なんだし」
胸には「囚人 張銀鈴」と書かれた名札が縫い付けてあった。
そして、銀鈴は立ち上がって、両腕を広げた。
「私の囚衣だけ、何でこんなにボロボロなのよ。二人のは新品よね? このくたびれ具合、つぎはぎ具合には見覚えがあるわよ。≪新人女官伝≫で、私が着ていた舞台衣装じゃない。変なところでケチケチせずに、新品を用意しなさいよ」
囚衣は季節柄、麻。薄灰色で、膝丈の筒袖上衣に、同色の桍(ズボン)。背中には「囚」の一字が書かれている。上衣は帯はなく、衿と身頃に縫い付けられた紐で、前を止める。背中の「囚」の字と、胸の名札を除けば、色も形も、武術着、野良着、寝衣によく使われるものである。
「まあまあ、銀鈴。似合ってるわよ」
「≪新人女官伝≫での銀鈴は、ほんとに囚人役が似合ってたわよ」
「何よ、≪侍女A≫も、≪侍女B≫も。わたしがそんなに、悪人に見える? 皇后をバカにすると、後が怖いわよ? 仁瑜に言い付けてやるんだから」
「さっき、『皇后扱いしないでよ』『皇后の自覚ないし』って、言ってなかった? 都合の良いときだけ、自覚あるの?」
「そうそう。それに、銀鈴の≪新人女官役≫は、名演だったわよ。ほんとに、かわいそうで」
「それって、ほめてるの? けなしててるの? あのとき、さんざん虐めてくれた、二人に言われても、妙な気分よね。あれ、演技だったの? 本気でやってなかった? 少しでも手を止めると、思いっきり笞で打つし、『暑い』とこぼしたら、『涼しくしてあげる』と言って、庭掃除で使う桶の水をぶっかけてくるし。その上、桶の水がなくなったから、くみに行こうとすると、『使う水は、一杯だけ。それが規則!』とくみに行かせてくれなかったし。しかも、水なしで、たわしで石畳を磨いてもきれいにならないのに、『きれいになってない!』と笞打ちされるし」
「そういう台本だったから」
「それに銀鈴。その後、悪妃にまたがって、思いっきり『お馬さんごっこ』してたでしょう。あれは、見ていてスッキリしたわよ」
「しかも、悪妃役は皇太后さまでしょう。いくら、いつも『舞台の上では、外の身分は忘れなさい』っておっしゃっていても、あそこまではできないわよ。とてもじゃないけど、畏れ多くて」
●≪新人女官伝≫の配役・あらすじ
・配役
≪新人女官≫と公主(姫) 銀鈴
悪妃と公主付侍女 皇太后
悪妃付侍女(≪新人女官≫の先輩) ≪侍女A≫≪侍女B≫
公主付侍女頭 幽霊皇后
・あらすじ
嫉妬から、讒言で幽霊皇后の投獄に成功し、幽霊皇后を死に追いやった悪妃は、そのたたりで毎夜悪夢にうなされていた。
そのストレスのはけ口に、≪新人女官≫を虐待していた。ある朝、≪新人女官≫は悪妃に洗面用の水をぶっかけてしまい、それが「不敬罪」とされ、投獄される。
≪新人女官≫は、公開で百叩きの上、無期限の重労役の刑に処される。そして、労役として、悪妃宮中庭の石畳磨きを命じられる。
連日の重労働と虐待、空腹に耐える≪新人女官≫は、夢の中で公主(姫)に転生し、同時に悪妃も公主付侍女に転生。そして侍女頭と共に、公主付侍女を「馬」にして、「お馬さんごっこ」をする。
悪妃は連夜の夢の中での「馬」扱いの心労で、死亡。悪妃の讒言を聞き入れた≪悪帝≫も、長年の不摂生がたたって死亡。
≪悪帝≫のまたいとこの王子が新帝として即位。≪新人女官≫も釈放され、新帝付の侍女となる。その後、≪新人女官≫は新帝に見初められ皇后となる。
・設定補足
一応、劇では「作中の王朝とは別の『架空王朝』での出来事」との体裁は取っている。
カテゴリー: 文章・描写
この質問に返信する!作中で演劇が話題になる場合の、その演劇のあらすじの扱いは?の返信 (No: 2)
投稿日時:
それは劇中劇(作中劇)の重要度によるのでは。構想されているストーリーのどこにポイント(本筋)があるのか再確認してください。それに絡むかどうかで扱い方は変わります。
あらすじを拝見しますと、1・2・3のうち2は笑わせるためのネタ程度で本筋ではないように思われます。本筋になりそうなのは1か3のどちらか。ただ、1はアイデアとしては面白いですが、劇中劇《新人女官伝》との関係は薄いように思います。3の方は《新人女官伝》と直接つながっているので、1は前振りで、3がストーリーの肝と捉えるのが自然です。
仮にそういう比重であれば、《新人女官伝》は会話の合間程度で処理するのは少し不足ではないかと思います。起承転結のどこに置くのが最適かは内容次第なのでわかりませんが、ある程度まとまった叙述は必要になりそうだと思いました。
なお、余談ですが。
前の書き込みでもちらっと触れましたが、皇后が投獄されてしまうという展開に少し疑問を感じないでもありません。喜劇基調のドタバタ展開の一環としても、背景としてこの物語の中の皇后という身分がどういうものなのかという基本設定はなおざりにしない方がよいような気がします。
一般論としては、近代以前の君主の立場は法よりも上位にあるのが普通ではないかと。古代や中・近世にも「法治主義」の思想は存在したでしょうが、それはあくまで君主が民衆を支配するにあたって専制的権威や武力を用いるのではなく法律の原則によって行うという意味です。君主が民衆を一方的に支配することには変わりはなく、法律は支配のためのツールでしかありません。君主が用いるツールなのだから君主自身に向けられることはなく、君主も法によって裁かれるという観念はかなり近・現代的なんじゃないかと。
なので、君主やその家族は権力構造が安定している限り法で裁かれることはないように思います。陰謀や権力抗争などにより処刑されることは有り得ますが、そういう場合、法律は厳正に執行されるのではなく、単なる口実として使用されるだけかと。
したがって、皇后が投獄されるというイベントは仮にドタバタ展開として導入するにしても、一応シリアスな背景は示しておかないと不自然に見えてしまうのではないかと思いました。
作中で演劇が話題になる場合の、その演劇のあらすじの扱いは?の返信の返信 (No: 3)
投稿日時:
>あまくささん
ご意見ありがとうございます。ドラコンです。
>《新人女官伝》は会話の合間程度で処理するのは少し不足ではないかと思います。起承転結のどこに置くのが最適かは内容次第なのでわかりませんが、ある程度まとまった叙述は必要になりそうだと思いました。
そうですね。やはり、初出時に400字~800字程度の「《新人女官伝》のあらすじ」を書いておいて、その後は適時、その場面の会話に必要な説明を挟む、という方針が良さそうですね。
>、一応シリアスな背景は示しておかないと不自然に見えてしまうのではないかと思いました。
前にいただいたご意見の返信でも、軽く申し上げたことです。皇后・銀鈴の「賭博罪での投獄」は「口実」で、本筋は「牢獄の幽霊調査」になりますね。これが、「シリアス」になるかは分かりませんが。
背景として、「もともと牢獄に幽霊が出る」とのウワサがあります。非公式の罰として、牢獄の掃除をやらされる、門限破りをした女官が、「公式の公開百叩きの罰を受けるから、牢獄掃除だけは勘弁してください!」と泣きついてくる感じです。
皇帝側も放ってはおけず、銀鈴には内緒(下手な演技では見破られるかも?)で、「誰にでも懐かれる」銀鈴を囮として投獄し、牢獄の様子を見る、というところです。
ただ、役者が「自分が囮」と知っていて、相手を騙す演技ができないのも、不自然な感じもします。
また、リンク先の「中華ファンタジーの過去ネタ焼き直しについて」( https://www.raitonoveru.jp/counsel/novels/show/13039 )のほうでも書いた通り、銀鈴投獄は、「いたずら娘を、物置や蔵に閉じ込めるお仕置きを、思いっきり大げさにやっている」イメージです。
プロット掲示板投稿のお知らせ (No: 4)
投稿日時:
リンク先のスレッドを含めて、小出しで質問したこの件ですが、ある程度に詰まりましたので、下記の通り、プロット掲示板に投稿しました。そちらのほうでも、ご意見をいただければ幸いです。
「寿国演義 銀鈴、牢獄で幽霊と邂逅す」
https://weblike-tennsaku.ssl-lolipop.jp/plot/novels/show/628
作中で演劇が話題になる場合の、その演劇のあらすじの扱いは?の返信 (No: 5)
投稿日時:
質問追記です。
この話を、『寿国演義 銀鈴、獄中で幽霊と邂逅す』との仮題で執筆を始めて感じたことです。
この≪新人女官伝≫のあらすじです。初出時には後掲のように軽く触れる程度にして、銀鈴と幽霊皇后が出会う場面で、本格的にあらすじを、地の文で書くようにしたほうが良いのでしょうか? 特に、≪新人女官伝≫が、銀鈴に取り付く幽霊皇后を獄死させた、側室(玉雉)の後日譚の部分は、銀鈴と幽霊皇后が出会う場面まで、引っ張ったほうが良いのでしょうか?
冒頭で、設定を長々書くのは「悪手」と聞いていますので。
ご意見をいただければ、幸いです。
・初出時の記述案
「≪新人女官伝≫とは、銀鈴が初めて主演を務めた後宮劇団の演目。主人公の≪新人女官≫が、主人である側室(悪妃)不興を買って投獄され、虐待され続ける。悪妃とその夫たる悪帝の死後、後を継いだ新帝に見初められ、皇后となる、との物語」
なお、牢獄で銀鈴と侍女2人が≪新人女官伝≫を話題にしている場面は、元の投稿より書き進めましたので、書いておきます。
今のところ、銀鈴と幽霊皇后が出会う前で、≪新人女官伝≫が重要キーワードなるのは、以下の場面だけです。この場面は、「初出時の記述案」だけで、理解してもらえるのでしょうか?
●牢獄の一場面
「「銀后さま、申し訳ありませんでした。私たちが誘ったばっかりに」
≪侍女A≫と≪侍女B≫は、銀鈴の前で正座し、深々と頭を下げた。
「何よ、改まって? いいの、いいの。面白くて、やったのはわたしだし。それに、わたしのほうこそ、ごめんなさい。わたしが一緒でなければ、怒られるぐらいで済んだのに」
そう言って、銀鈴は≪侍女A≫と≪侍女B≫に向かって頭を下げた。
「それに、皇后扱いしないでよ。予審でも『吟味と処罰では皇后扱いしない』と言われたし、そもそも皇后の自覚ないし」
銀鈴は、胸元に視線を落とした。
「今のわたしは二人と同じ、裁きを受ける罪人なんだし」
胸には「囚人 張銀鈴」と書かれた名札が縫い付けてあった。
そして、銀鈴は立ち上がって、両腕を広げた。
「私の囚衣だけ、何でこんなにボロボロなのよ。二人のは新品よね? このくたびれ具合、つぎはぎ具合には見覚えがあるわよ。〘新人女官伝〗で、私が着ていた舞台衣装じゃない。変なところでケチケチせずに、新品を用意しなさいよ」
囚衣は季節柄、麻。薄灰色で、膝丈の筒袖上衣に、同色の桍(ズボン)。背中には「囚」の一字が書かれている。上衣は帯はなく、衿と身頃に縫い付けられた紐で、前を止める。背中の「囚」の字と、胸の名札を除けば、色も形も、武術着、野良着、寝衣によく使われるものだ。
「まあまあ、銀鈴。似合ってるわよ」
「≪新人女官伝≫での銀鈴は、ほんとに囚人役が似合ってたわよ」
「何よ、≪侍女A≫も、≪侍女B≫も。そんなに、わたしがそんなに、悪人に見える? 皇后をバカにすると、後が怖いわよ? じん、いや陛下に言い付けてやるんだから」
「さっき、『皇后扱いしないでよ』『皇后の自覚ないし』って、言ってなかった? 都合の良いときだけ、自覚あるの?」
≪侍女A≫がたしなめた。
「銀鈴の≪新人女官役≫は、名演だったわよ。ほんとに、かわいそうで」
「月刊『舞台』で大評判だったわよ」
「そうそう。『百年に一度の大型新人!』とべた褒めだったわよ。普段は結構辛口な、あの評論家が」
「そうなの」
銀鈴は、まんざらでもない笑みを浮かべた。
「それって、ほめてるの? けなしてるの? 稽古でも本番でも、さんざん虐めてくれた、二人に言われても、妙な気分よね。あれ、演技だったの? 本気でやってなかった? 少しでも手を止めると、思いっきり笞で打つし、『暑い』とこぼしたら、『涼しくしてあげる』と言って、庭掃除で使う桶の水をぶっかけてくるし。その上、桶の水がなくなったから、くみに行こうとすると、『使う水は、一杯だけ。それが規則!』とくみに行かせてくれなかったし。しかも、水なしで、たわしで石畳を磨いてもきれいにならないのに、『きれいになってない!』と笞打ちされるし」
「そういう台本だったから」
「台本、って? 二人とも、かなり悪ノリしてたでしょ? 台本も後から、結構過激になったし。桶の水をぶっかけられるのは、≪侍女A≫が出した案だじゃない」
「『書き上がった台本でも、新しい案があればどんどん出しなさい』って、皇太后さまがおっしゃっているしね」
「それに銀鈴。その後、悪妃にまたがって、思いっきり『お馬さんごっこ』してたでしょう。四つん這いの悪妃を鞭で打つのは当然として、生のままの人参を食べさせたり、『きれいにしてあげる』と、池の中に連れ込んで、たわしでこすったりと。他にもいろいろやったわね。あれは、見ていていてスッキリしたわよ」
「しかも、悪妃役は皇太后さまでしょう。いくら、いつも『舞台の上では、外の身分は忘れなさい』っておっしゃっていても、あそこまではできないわよ。とてもじゃないけど、畏れ多くて」
「まあ、虐められて、うっぷんがたまっていたのは、事実だけどね。皇太后さまも『遠慮せずにやりなさい』って言ってたし」
「夕餉だぞ」
木の格子越しに、秋水が声を掛けた。
「えっ、もうそんな時間? ありがとう」
銀鈴は、そう言って格子に開けられた差し入れ用の小窓から、盆を受け取った。
「牢屋の中なのに、普段とそう変わらない献立じゃない」
盆には、夕餉の主菜、棒棒鶏(バンバンジー)が大皿で盛られていた。
「何を想像してたんだ?」
秋水は、そう言いながら、副菜と瓜の味噌漬けの盆、茄子の羹(スープ)入りの小鍋、白飯入りのおひつ、取り皿や箸などの食器、保温呪符が刻まれた湯入り竹筒、緑茶葉入り茶筒を監房内に差し入れた。
「だって、牢屋のごはんって、朝・夕の二度で、薄いお粥と漬物がひと口じゃなかったっけ? しかも、お粥は冷めきっていて、とても食べられたものじゃないの」
「それは、≪新人女官伝≫の語り(ナレーション)だろ? 芝居と現実をごちゃ混ぜにしてないか?」
秋水があきれ顔で言った。
「朝餉に、薄いお粥をひと椀、漬物ひと口食べただけで、昼餉は抜いて、囚人役の自主稽古してたわよね。私たちが、いくら『食べなさい!』って言っても、聞かなかったし」
「ほんとね。あの食いしん坊な銀鈴が、自分から食事を抜くなんて、信じられなかったわよ。炎天下で、庭掃除の場面の稽古をして、暑気あたりで倒れかけたわよね。凝り性というか、変なところで真面目なのよね」
≪侍女A≫と≪侍女B≫が顔を見合わせた。
「じゃ、ごゆっくり」
そう言って、秋水は去っていった。
銀鈴たちは、夕餉を円卓に並べた。
「いただきます。って、二人ともそれだけでいいの? 食べられるときに食べておかないと体がもたないわよ? 囚人は体力勝負! 何かの拍子に『ごはん抜き!』のお仕置きを受けるかもしれないわよ?」
銀鈴は、≪侍女A≫と≪侍女B≫の茶碗と汁椀を見て、そう言った。≪侍女A≫と≪侍女B≫の茶碗と汁椀には、ほんのひと口分の白飯と羹が盛られているだけだった。
「……それはそうだけどね。あまり食欲がなくて。それに、≪新人女官伝≫に『食事抜き』の罰の場面は、あったかしら?」
「……同じく。私も食欲がなくて。銀鈴、よく食べられるわね。無邪気というか、のんきというか。裁きが心配じゃないの? 賭博だけならまだしも、蟲毒や呪詛の疑いまでかかっているわよ。下手すると、大逆罪で死罪よ。それに、何で銀鈴は、牢屋暮らしが長そうな口ぶりなのよ? ≪新人女官伝≫には確か、永巷の場面はほとんどなかったはずよ」
「そうよね。いくら銀鈴が、≪新人女官伝≫で囚人役をやったといっても、場面は板首枷をつけての晒し、公開での百叩き、悪妃宮での庭掃除の労役だからね。永巷での処遇は、せいぜい語り(ナレーション)で語られるぐらいだしね。案外、牢屋に入っていないのよね。まあ、かなり熱心に役作りをしてたけどね。台本はもちろん、牢屋や拷問の場面のある小説もかなり読み込んでいたわよね」
「大丈夫じゃないの? いくらなんでも、死罪はないんじゃない? しばらくの牢屋暮らしや百叩きぐらいはあるかもしれないけど。だいだいお芝居の裁判監修は、越先生と芳雲師姉よ。重罪人扱いなら、こんな良い待遇はないわよ。≪新人女官≫の牢屋での扱いは、現実の重罪人か、それよりももっと酷かったんじゃない? ほんとに死罪もあり得るなら、今ごろわたしたちは鉄の首輪、手枷、足枷をつけられているわよ。それに、こんな料理は食べられないわよ」
銀鈴は、そう言いながら、濃厚な味噌味の棒棒鶏をほおばっている。
≪新人女官伝≫での≪新人女官≫は、監房外での労役中はもとより、監房内でも常に鉄の首輪、手枷、足枷をつけられていた。
「それに、予審での芳雲師姉のあの態度は、わざとよ。裁判場面の演技指導で、越先生も、芳雲師姉も、『実際にはこんなことはしない。けど舞台は、舞台映えを優先すれば良い』が、口ぐせでしょう。あれは絶対、遊んでるわよ。あの二人も、『たまには舞台のような取り調べをやってみたい』って言っていたし」
「それもそうね」
「やっぱり経験者は違うわね」
≪侍女A≫と≪侍女B≫は、そう言って、自分たちの茶碗と汁椀に、白飯と羹を注ぎ足した。」
質問再追記(質問訂正?) (No: 6)
投稿日時:
質問再追記(それとも「質問訂正」?)です。連投失礼しました。
「この≪新人女官伝≫のあらすじです。初出時には後掲のように軽く触れる程度にして、銀鈴と幽霊皇后が出会う場面で、本格的にあらすじを、地の文で書くようにしたほうが良いのでしょうか? 特に、≪新人女官伝≫が、銀鈴に取り付く幽霊皇后を獄死させた、側室(玉雉)の後日譚の部分は、銀鈴と幽霊皇后が出会う場面まで、引っ張ったほうが良いのでしょうか?」
幽霊皇后は「自分がモデルになった演劇」なので当然、話に食らい付いてきます。ですので、≪新人女官伝≫のあらすじは幽霊皇后と銀鈴・侍女2人との「会話」で示すこともありかな? とも考えています。
また、≪新人女官伝≫が作中初めて重要キーワードになる、No.5の投稿で書いた「牢獄の一場面」では、「後宮劇団の演目の一つで、銀鈴が初主演を務めた作品」とだけ書いておきます。その後、銀鈴が幽霊皇后と出会う場面で、≪新人女官伝≫のあらすじを記述するのはどうでしょうか? これで「牢獄の一場面」が分かりづらいことはないのでしょうか?
質問再追記(質問訂正?)の返信 (No: 7)
投稿日時:
抜粋された本文の場面が、プロット上のどの位置にあるのかも重要だと思いますよ。
この主人公が牢獄にいるシーンって、現在プロット上のどこにあるんですか?
全体の流れが分からないと、伏線等の相談には乗れないと思います。特に細かい情報の匙加減は、本作が完成してからのほうが他人が指摘しやすい部分かな?とも思います。
プロットの掲示板でも触れましたが、前回の話を未読な人にも分かるように世界観を説明する必要があるなら、皇后である主人公たちが演劇をしているって情報は、かなり序盤じゃないと個人的にダメだと思っております。
「中華風」「皇帝」「皇后」「後宮」の単語だけで、後継ぎを産むための後宮があり身分制度の上下関係の厳しい世界観をイメージする人が多いのでは?って思うので、「違う世界観だよ」っていうのは、序盤に提示しなくてはいけない情報だと思ったからです。
なので、この場面はどこにあるのかが重要なんですが、スレ主様から変更後のプロットについて情報が提示されていないので、全然見当もつかず分かりませんでした。
現状でかろうじて分かることですが、
この牢屋での会話が起承転結の起以外なら、初めて「劇の公演」の話が出てきたら情報として遅いかもしれないって思いました。
あと、最初に二人から皇后として畏まられており、主人公も「皇后扱いしないでよ」というくらいですから、もっと丁重に扱われる立場のように感じるので、古い身分制度が残っているように感じます。
「無礼だぞ」の台詞が出てきてもおかしくない世界観なら、裁判沙汰は失脚や降格してもおかしくないのでは?って個人のイメージです。なので、裁判沙汰にまで発展させた皇帝に不信感を抱いてもおかしくないのでは?って思ったので、三人ともにのんびりし過ぎなように感じました。
前回のプロットを過去読みましたけど、申し訳ないことに「主人公が田舎から列車に乗って後宮に行く途中、女装したヒーロー(主人公の手書きの履歴書が気になったから)と出会う(中華風な世界観)。」ぐらいの情報しか頭の中に残っておりませんでした。
主人公は食いしん坊ですって後からスレ主様から言われて、そういえばそうだったと思い出したくらいです。
あと、「天性の無邪気娘」だけの設定説明だけでは、「誰とでも仲良くなれる人たらしの力で幽霊事件を解決する」までは未読の方は分からないと思いますし、私自身申し訳ないことに主人公のその能力について覚えていなかったです。
なので、もし同じ作品で意見を今後も求めるなら、今作で必要な情報を整理されて一つに集めたほうが、回答しやすいのでは?と思いました。
指摘ばかりで大変申し訳ないのです。あくまで個人の意見ですので、合わなければ流してくださいね。
創作活動、応援しております。
ではでは失礼しました。
質問再追記(質問訂正?)の返信の返信 (No: 8)
投稿日時:
>ふじたにかなめさん
ご意見ありがとうございます。ドラコンです。
投稿しておいて、こんなこと言うのも申し訳ないのですが、書きたい場面(書く必要のある場面とは別)を6割ぐらい書いたら、「書きたい衝動」がある程度収まってしまいました。端的に言えば、執筆に飽き始めて、書く気が薄らいでいます。
>特に細かい情報の匙加減は、本作が完成してからのほうが他人が指摘しやすい部分かな?とも思います。
完成させて、意見を聞きたいのは、もちろんあります。ただ、書く気が薄らぎ始めたのもあります。それと共に、ここの掲示板「ノベル道場」に投稿するせよ、「返信お知らせメール」が届かない可能性があります(2019年11月投稿の前作も、投稿直後は「返信お知らせメール」が来ていたが、後には届かなくなった)。いつ感想が付くかと、一日に何度もラ研をチェックするのも、結構なストレスですよ。
現に、このスレッドも、「返信お知らせメール」が来ていません。「返信お知らせメール」が来れば、メールが届いてから見に行けば良いので、楽なんですがね。
>前回の話を未読な人にも分かるように世界観を説明する必要があるなら、皇后である主人公たちが演劇をしているって情報は、かなり序盤じゃないと個人的にダメだと思っております。
>この牢屋での会話が起承転結の起以外なら、初めて「劇の公演」の話が出てきたら情報として遅いかもしれないって思いました。
ここは悩むところですよ。序盤で設定を羅列するのは「悪手」ですからね。書き出しで、こう書いておけば良いのでしょうか? 『落第忍者乱太郎』は、各巻冒頭で設定をくどくど説明します。ですが、これは長寿作品で、それが既に「お約束」で、「様式美」なっています。拙作で、これをまねるのもどうかと思います。
「後宮は、妃たちが皇帝の寵を競い、争う場ではない。全寮制の女性だけの劇団、そして女性官吏の独身者寮である。よって、後宮の住人は、劇団員か女性官吏、または両方である。三百年前に、当時の皇后が側室の嫉妬から投獄され獄死し、その原因を作った側室と皇帝も非業死。これを受けて後を継いだ新帝は、女同士の争いに嫌気がし、皇后以外とは関係を持たなかった。以後の皇帝も、これに倣っている」
>「無礼だぞ」の台詞が出てきてもおかしくない世界観なら、裁判沙汰は失脚や降格してもおかしくないのでは?って個人のイメージです。なので、裁判沙汰にまで発展させた皇帝に不信感を抱いてもおかしくないのでは?って思った
この投獄と裁判は「茶番」ですからね。最終的に「茶番だ」とはっきり言うのは、ネタばらし(結)の場面です。最初(起)の裁判場面では、あからさまに示すと興醒めなので、うまく「茶番」と匂わせられれば、良いのですが。
>三人ともにのんびりし過ぎなように感じました。
この場面は、のんきに、無邪気に「囚人ごっこ」と感じてほしいので、狙い通りですね。
返信追記 (No: 9)
投稿日時:
>ふじたにかなめさん
ドラコンです。遅ればせながら、返信の追記です。
この『寿国演義 銀鈴、獄中で幽霊と邂逅す』(仮称)を、「銀鈴(主人公)と仁瑜(ヒーロー)とのラブラブ・イチャイチャ話」と期待されていたのでしたら、申し訳ないのですが、ご期待に添える作品ではありません。「銀鈴が幽霊に気に入られる」との話です。仁瑜の出番は、あまりありません。