「名前だけ借りた別物」の是非の返信
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「名前だけ借りた別物」の是非(元記事)
近年のラノベではオリジナルのモンスターの登場は避け、ポピュラーなモンスターの使用が編集から求められるとの話を聞いた事があります。
それも踏まえて私は敢えて作中最も多く登場する雑魚敵にゴブリンでもスライムでもなく蛇のモンスターのバジリスクを使用する事にしました。
ただそのバジリスクがヴェロキラプトル風のオリジナルのモンスターに名前だけ借りてきたような状態で、オリジナルにあった毒や石化能力も(スライムやゴブリンのポジションのわらわら出てくるタイプの敵にあったら厄介すぎるとはいえ)オミットしています。
せいぜい爬虫類という事以外原型を留めていない状態に仕上がりました。
本音としては馴染み深いモンスターハンターのランポスやゲネポスをそのまま使いたかった所に適当な爬虫類系モンスターの名前を付けた結果の産物です。
他にも私がポピュラーなモンスターの名前を使うと大抵上述のバジリスク並のアレンジを加えているのですが、これは「ポピュラーなモンスター」を使ったと言えるのでしょうか。
「名前だけ借りた別物」の是非の返信
投稿者 手塚満 投稿日時: : 1
ご質問文の範囲内だけで考えて結論を先に申し上げますと、読者の負担になるネーミングになる恐れがあるように思います。できれば避けるべきです。ただ、そのままでなくてもよいなら、工夫の余地がありそうです。
バジリスク(またはバシリスク)は古代からの伝承に登場する空想上の生物で、ゲームなどでも採用されたこともあって、かなり知られているものだと考えて差し支えないと思います。ですから「バジリスク」と言っただけで、あるイメージが湧きます。
しかし、構想されているフィクションにおいては、一般的なバジリスクのイメージとは異なるものに仕上がっているわけですね。そのフィクションを実際に読んだら、別イメージのバジリスクとなっている。
すると読者は、「バジリスク」という単語で一般的なバジリスクをまずイメージし、続いてそのフィクション固有の「バジリスク」にイメージしなおすことになります。これは、ややこしい感じが生じて、意外に大変です。引っ掛け問題みたいなものになりかねません。楽にすらすら読めない要因になってしまいます。言葉からのイメージを間違うと、作品を誤解しかねないわけですから。
よく知られた名詞を借りるのは、説明が不要、ないしは短くて済むメリットがあります。全くのオリジナルですと、作中の説明を理解し暗記するなど、かなりの労力を要します(絵で表現するコミックやアニメ、実写等ではたいてい問題ない)。
文章作品では、見たこともないオリジナルの外見を表すのは大変です。言葉は情報量が少ないですからね。簡単な図形の少ない組み合わせの絵でも、言葉だけで説明してコピーを描いてもらうと、似ても似つかないものに仕上がることが多いという実験があったりします。
ですので、一般的によく知られたものを多用したり、オリジナルなものでも「~のような」という比喩を用いて、伝える工夫を凝らすことになります。少しだけ名前を変えるという手もあります。ゲームのFFシリーズでは、聖剣エクスカリバーの偽物として「エクスカリパー」なんて剣が登場します。聞くところによると、濁音は力強く響き、半濁音は可愛らしく響きそうです。言われてみると、半濁音の「エクスカリパー」だと、強そうな剣には聞こえないように思います。
「バジリスク」に戻りますと、そのまま使うとややこしいですが、慣れ親しんた単語であるメリットも使いたいのも自然な人情ですよね。例えば、バを半濁音に変えて「パシリスク」ならどうか、と考えてもいいように思います。やはり例えばですが「バジリスクを情けなくしたようなパシリスク」みたいな感じですね。
オリジナリティ、親しみやすさ、読者の負担等々、いろいろ相反する要素をどう取りまとめ、何を妥協してどこを強調するか、いろいろバランスの取り方が考えられると思います。エンタメ作品では、基本的には「すらすら読めて、楽に間違いなくイメージできる」が優先になるような気がします。
カテゴリー : 設定(世界観) スレッド: 「名前だけ借りた別物」の是非