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追記。読者と主人公の知識の一致。

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死神の返信の返信(元記事)

再訪、再々訪、再々再訪ばかりですみません。レスはお気遣いなく。

>「読者が読み取った情報の整理」を行う場面が必要だったと考えています。

そうですね。それが一番手堅い方法だと思います。
井上ひさしさんのその作品を読んでいないので分かりませんが、ミステリの場合は解決編の前に探偵役が情報整理してくれるのはお約束。普通の小説では不自然になる場合もあるかもしれません。なので、要所要所の会話や、地の文に入れる主人公の思考などで段階的に理解させるのも良いかもしれませんね。
あと、先に書いたようにキュゥべえのようなキャラ(説明することが不自然ではない立ち位置のキャラ)を作る手もあります。

ただ、そういうことを施しても、少し問題は残るかもしれません。
これも繰り返しになりますが、小説の「分かりにくい要素」は、分かりにくいことだけが問題なのではなく、「分かりにくい! 先を読むのがめんどくさい! もう読むのをやめよう!」と読者に思われてしまうのがまずいのです。

このデメリットについては、後から情報を整理しても手遅れです。

御作の場合。
向こうの感想でも指摘されていましたが、死神の設定がやや複雑すぎるんです。元ネタである落語・死神の設定に確かに似ていますが、落語の方は一つも分かりにくくないですよね?
御作では、ストーリーの都合で死神の能力に一捻りも二捻りも加えています。そういう微妙なところまで展開だけで表現しようとしていて、明らかに説明不足でした。

解決策としては。

まずは向こうでも提案されていたように、死神の設定そのものをもっとシンプルにできないか考えてみること。それでもストーリーは成立する可能性を私も感じました。

いえ、やりたかったことは分かるのです。どんでん返しですよね?

終盤の意外な展開を演出するために、設定に捻りをくわえる必要が生じたのだと思います。しかし、そういうことは一度話を複雑にしてしまうと作者の思考がそれにとらわれてしまって、よく考えたらもっと単純にできることに気が付かないというのは、よくあることです。
なのでダメ元で、まずは設定そのものをもっとスッキリできないか一旦は検討してみるとよいと思います。

つぎに。

捻りを加えた設定のままでいきたいなら、やはりストーリーを通して段階的に理解させていくのがよいかなと。
また繰り返しになりますが『まどマギ』は好例だと思います。
『まどマギ』は主人公たちが全編を通して徐々に真相に近づいていく構成になっていましたが、途中の理解は方向が間違っていたんですね。しかし間違ってはいても、それぞれの段階の理解そのものは明快で分かりやすくなっていました。
そのようにして、一つ一つ視聴者にしっかりと理解させながら、フェイクの理解を次の段階で修正していく。そんな流れが作られていて見事でした。

パーツは分かりやすく。しかし、パーツの組み合わせにトリックがあったということです。

他に、魔女の斬新なヴィジュアルや、「マミる」という言葉を生んだ有名な第3話の衝撃など、視聴者をつかんで離さない工夫もふんだんに盛り込まれていました。
加えて真相がなかなか分からないじれったさも、逆手に取れば「真相を知りたい」という視聴者(読者)の欲求につなげることもできます。
そういうところも『まどマギ』はとてもよいお手本かと。「もやっとする分かりにくさと」と「興味を引き出す分かりにくさ」の違いを読み取ってください。

追記。読者と主人公の知識の一致。

投稿者 あまくさ 投稿日時: : 1

一つ書き忘れました。

◎読者と主人公(視点人物)の知識の一致。

これも重要なのではないかと考えます。
御作の冒頭、呪い屋の主人公がヤクザと商談していますが、主人公のふてぶてしい態度は演技らしいというところまでは何となくわかります。しかし、その背景(死神の能力と呪い屋の関係)まではこの描写では分かりようがありませんよね。そのため、主人公は人を呪い殺せるらしいのにヤクザごときを怖がっている理由がわからず、読者の脳裏に?がうかびます。

実は怖がっているようなのだけれど演技で隠していて、そうする理由がわからない。
これだと読者はこのキャラクターに共感しようがないことはお分かりでしょうか? 怖がっているなら怖がっている、怖がっていないなら怖がっていない、そしてなぜそうなのか明瞭にわかる。それでこそ読者はキャラクターと心理を共有できるということです。

もちろん。
主人公の全人生の知識を読者と一致させることは不可能です。ただ、物語の本筋にかかわる部分の知識はできるだけ一致していた方がいいのではないかと。
それによって、読者と主人公が歩調を合わせて物語を理解していくことができる、というメリットも生じます。読者と主人公に一緒に発見させ、一緒に驚かせ、一緒に悲しませるのです。

オイディプス王というキャラは隠された秘密が満載ですが、戯曲のスタート時点では本人もそれらを知りませんよね? そこがポイントだと思うんです。
むしろ観客の方は戯曲以前のオイディプス伝説を知っているでしょうから、観客は知っているけど主人公は知らないという逆の不一致はあります。
しかし、こちらの不一致は大丈夫のようです。

◎名作は何度読んでも感動できるという事実。これはなぜなのか考えてみると、見えてくるものがあるのではないでしょうか?

結末を知っているのに何度も同じ物語を再体験できる。ここにこそ「物語の力」があるのではないかと思うんですね。

一方。
物語の根幹にかかわる重要なことを主人公は知っていて読者は知らないという不一致は、少なくとも主人公への共感という点においてはかなりマイナスです。そして往々にして読者に物語を理解させる段取りの調整がむずかしく、そこを失敗した作品になってしまいがちなのだと思います。

ストーリーは時系列を守った方がいいと言われる理由の一つも、おそらくここに関わっています。
落語の『死神』では、何も知らない主人公が死神と出会うところから始まります。そして設定説明を、聴衆と主人公は一緒に死神から聞かされるのです。それから半信半疑でニセ医者稼業をはじめ、うまくいったから調子に乗って設定の裏をかくことをやりはじめ~、という流れを聴衆と主人公は一緒に体験していきます。だから、分かりやすいのです。

エンタメ・ストーリーの主人公に巻き込まれ型が多い理由も、おそらくこれ。
昨今、異世界転生モノが大流行した本当の理由もこれなんじゃないかと。これほど読者と主人公の知識を一致させやすい形式もありませんよね?

以上のことはあくまで基本であって、実作においてすべて杓子定規に守る必要もないのだろうとは思います。
ただ基本をしっかり把握したうえで、計算づくでバリエーションを加えていく姿勢は大切かと。

カテゴリー : 文章・描写 スレッド: 問題を早めに提示するのは当たり前のことではないか?

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