性善説ではありませんの返信の返信
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性善説ではありませんの返信(元記事)
うーん、まあなんとなく言いたいことは分かりました。多分、ではあるんですが。
ただ、生物系が好きな人として、ちょっとだけ面倒くさいツッコミをします。
・人間は本能の働きが薄い。
これは、難しい所であります。
そもそもの『本能』と言う言葉が紛らわしいんですが、そもそも形質や生態が違う以上、生物ごとに『本能』の在り方は変わってきます。
その上で、一個は人間が『学習本能』つまり、『物事を学習するという本能』を持っているという事。これは、屁理屈的な話ではなく、『何を重要な物と判断して学習し、何を不要な物と判断して学習しないか』などの直感的に見える側面も含まれるため、中々厄介なのです。
それともう一つ、集団本能/集団形質と呼ばれる現象の問題もあります。例えば、『働きアリの中には2割ほどの働かないアリが混ざっている』と言う話を聞いたことがあるんじゃないでしょうか。この現象、実はある程度より規模の大きい集団であれば、ほぼ確実にそうなります(強力な外敵の危機に晒され続けていたりすると、例外が発生します)。
同じように、人間の社会構造と呼ばれている物の中には、『人間が自らの意思で作った』と思っていても、案外と『本能的にそうなってしまった』ものもあるのではないか、という説もあります。ここら辺、都市伝説っぽい話な上に、社会行動学や言語学の問題なんですが、原始的な文字形態や宗教などには、ちょいちょい奇妙な共通点が発生します。
勿論、再現実験の難易度が高すぎるので『どこまでが本能で、どこまでが理性か』を決めるのは難しいですが、『人間社会の在り方』そのものに動物的本能が作用していないと言い切るのは、中々難しいのです。
・ミツバチやアリの思考・学習
これについては、学術上『そこそこ高レベルの物を持っている』事が判明しています。
有名どころで言えば、パブロフの犬ですが、人間が意図的に実験環境を用意せずとも、動物は学習・思考を行います。主な所で言えば、寝床と餌場の捜索ですが、別にアレだってランダムにやっている訳ではありません。
所謂、『ミツバチのダンス』という物を聞いたことはあるでしょうか? これは厳密には伝達能力の話ですが、彼らは例えば、『巣の周辺の植物の生え方を記憶して、餌場を探しに行くとき、特定の順番で移動する』などと言う行動をとります。
また、アリがセミの死骸などを解体しているところを見た事はありませんか? 人間の解剖学ほどではないにせよ、彼らは自分より大きな獲物を運搬する時、噛み切ってパーツごとに分けて運搬します。そういった際に関節を狙って千切りに行くところなどは、決して『本能』の一言で説明しきれるものではないでしょう。
さて、話を戻しますが。
あまくささんの『悪人』の定義は分かりました。
ただ、その定義を通すのであれば『そもそもシステム的に「生まれつきの悪人」は発生しない』と言うのではなく、まず第一に『性悪説』という理屈を考えた人にとっての『悪人』の定義を考えるべきだろう、と俺は思います。
まあそこら辺細かく言いだすと、そもそも俺とあまくささんの『世界観』が違っている訳なので、中々事態はややこしいわけですが。そもそも、性悪説云々言いだしたのも俺ですしね、定義が違うもんぶっこんじゃったんだったら、すみません。
『善』と『悪』については、大体のラノベ好きは一度は考えるんじゃないですか? っていうか、考えていて欲しいなぁ。
そもそもこのスレ自体、そういう『持論』を聞きたいから立てた側面もあるので、むしろ大いに語ってもらって構いませんよ。
読むせんさんの上げてたマジレンジャーは好例でしたね。
まあ、俺個人としては『日本人の作り上げた社会全体が持ってる歪み』もまた薄っすら見えてきて、二重に怖く感じるんですが。
日本人って、『失敗』とか『敗北』に対して甘すぎる部分があると思うんですよねぇ。社会全体として。
それを歪みと言うのか、適応成長と言うのかは個人個人に任せますが、中々けったいな国民性してますよね、この国。
歪みなら矯正すればいい、と言うのは確かに短絡思考ですねぇ。
30までは、まあそれっぽいことも出来ますが。取り合えず、30過ぎたら人格の矯正なんて無理ですよ。監禁&洗脳クラスの刷り込みとかをやれば、『都合のいい方向に歪める』ことは出来ますけど。
大体根本的に、成長するって事が『歪んでいく』って事でもあるんですから、『真っ直ぐにしよう』ってのがまずおかしいんです。
或いは、いっそ某ガンダムみたいに『その歪みを断ち切る!』ってぇ方向性で行くか。
僕はむしろ逆かな、ニュートラルを目指すより、歪んでいけ。
『歪んでる自分』をちゃんと認知できるように、文字の上では冷静に。
まあ、二重人格とは全然違う話ですが、『冷静に物事を見て、愉快がる自分』と『感情的に突き抜けて、ぶっ飛んでいく自分』の二つに分けて、色んな『歪み』を愉快がって行こうかなぁ、なんて。
性善説ではありませんの返信の返信
投稿者 あまくさ 投稿日時: : 1
ん?
いや、そんなことは言っていませんが。
>『人間社会の在り方』そのものに動物的本能が作用していないと言い切るのは、中々難しいのです。
これは、私の前の書き込みの、
◎さらに俯瞰的な視点から考えると、一見本能を逸脱したように見える人間の「生存戦略」も、人間にとっての「自然」なのだとも言えます。
は、同じことを述べたつもりですが。
>人間の解剖学ほどではないにせよ、彼らは自分より大きな獲物を運搬する時、噛み切ってパーツごとに分けて運搬します。そういった際に関節を狙って千切りに行くところなどは、決して『本能』の一言で説明しきれるものではないでしょう。
仰っていることの方向が、途中から逆になっていないでしょうか?
・人間の行動が本能に根ざしていないとは言い切れない。
・動物の行動は本能の一言で説明しきれない。
これじゃあ、右をさらに右から見たら左、左をさらに左から見たら右と言っているだけじゃないかと思いますが。
* * *
猿を使った実験。
ある部屋の天井にバナナをつるします。猿が必死に飛び上がっても届かない高さです。
その部屋に棒を1本置いておきます。
すると猿を、その棒を使ってバナナを叩き落とすということを、わりと簡単に思いつくそうです。
ところが。
バナナと棒を別の部屋に置いておくんです。
猿はA室で棒を見てから、B室で吊されたバナナを見ます。しかし、同時に見えない棒とバナナを結びて考えることはできないらしい、という実験結果が出たとのこと。
もう一つ。
動物行動学のわりと有名な知見だったと思いますが、2匹の狼が戦うとき、一方が降伏の意思を示すと他方はすぐに攻撃をやめるらしいです。
人間だったら、一旦降伏しておいて、後で復讐するという行動を取り得ます。そして相手もそれが予想できるから、完全に息の根を止めるまで徹底的に攻撃するという行動を取ってしまうことが少なくありません。
直感的に結びつかない二つの事象を、結びつける思考。
未来に起こることを予測し、様々な結果や影響を洞察する思考。
この「洞察」という思考は、(ヒト以外の)動物には決定的にありませんよね。
この部分において、人間と動物とではそうとう隔絶していると思われます。
先に本能云々と書いたのは、ここは詳細にエビデンスを示して論じることができる場ではないので、話を分かりやすくしようとしただけ。論点はそこではないのです。
* * *
>まず第一に『性悪説』という理屈を考えた人にとっての『悪人』の定義を考えるべきだろう、と俺は思います。
私は悪という概念自体が、言ってしまえば大いなる誤謬だと考えているんです。
物理法則の中に善とか悪とかいう要素はありませんよね? しかし、社会の中には善悪という要素が抜き差しがたく存在しています。
それは別に矛盾じゃないと考えているんですよ。
人間の根源が本能に根ざしていようがいまいが、他の動物にも思考の萌芽があろうがなかろうが、人間と他の動物では複雑さのレベルが違いすぎるんです。
そういう複雑な社会の中で、人間は独り立ちするまでに20年以上かかりますから、その期間に蓄積する経験値に余分な夾雑物がまざりすぎ、どうしても歪んでしまうんです。
そして、社会がなければ人間は生きていけない以上、歪みが一線を越えて社会のバランスを破壊するところまで行ってしまったならば、それは「悪」と定義することが妥当ではあります。
しかし、本質的には、例えば殺人が悪である理由を科学的には証明し得ないですよね?
まあ、貨幣経済の原理みたいなもので。
お金だけいくら持っていても、それで食物を買えなかったら誰だってすぐに死にます。だから貨幣は実体的な価値を持たないまやかしなのですが、そのまやかしを信じることで現代の市場社会は維持されています。この信用が崩れたらあっというまに崩壊するので、信じざるを得ないのです。
信じざるを得ないから信じているだけだと気がついている人もいますが、多くの人はたぶん本気で信じているように見受けられます。だから社会は成り立っているという。
そんなもんです。
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