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ちなみにの返信(元記事)
多分俺、概ね正しく理解していると思いますよ。
そして俺が上げた『ボトムズと泣いた赤鬼』というのも、無意味な組み合わせではなく換骨奪胎の一例なのです。
一応解説はさんどくと。
『装甲騎兵ボトムズ』ってのは、従来『少年の成長を描く』タイプが多かった戦争モノロボットアニメの中で、『兵士として完成され、味方からも忌み嫌われるような性質を持つ主人公』が人間味を取り戻していく物語です。
主人公の特殊性として、『異能生存体』という設定があり、『超常的な力によって周囲を犠牲にしてでも生き残る』という体質(強制発動)だったために、死神として忌み嫌われていた、という設定が有ります。
一方で『泣いた赤鬼』は、皆さんご存じの通り『人間と仲良くしたいと願ったが方法が分からなかった赤鬼と、赤鬼と人間の間を取り持つために自ら犠牲になった青鬼』という構図のストーリーです。
ただ、作中で書かれていないながらも『鬼という生き物は人類の敵・恐れられるものである』という共通認識の上に物語が成り立っており、赤鬼・青鬼がそれなりの勇気と『鬼と人類が敵対している事への疑問』をもって人間に近付こうとした事は想像に難くありません。
兵士として完成された結果感情を欠落させたボトムズの主人公が周囲との触れ合いを通じて人間性を取り戻していく様と、『人間に畏れられる存在』から脱却して人間と仲良くなろうとし、一度は人に疑われて心を閉ざした赤鬼の精神的成長。
その体質上、『周囲を犠牲にする事がとても多く、一種のトラウマがある』ボトムズの主人公と、青鬼という友人を失ったことで、『自分が何を犠牲にしたのか』を思って泣いた赤鬼。
『周囲を犠牲にする』故に意図せず『死神』などと呼ばれて畏れられていたボトムズの主人公と、『鬼である』という理由から実態も見ずに恐れられていた赤鬼。
勿論、こじつけと言われればそうなのですが、物語の形式としては非常に似通っている部分が多いように感じられます。
まあ、どっちかって言うと俺はガンダム推しなんですが、ロボットアニメとしてもボトムズは人気が高いので、良かったら。
人の醜さとか、善意のはかなさとかの描き方については同じ基本構造をしているよな、と俺は思います。
楽しい話が出来てよかったです。ありがとうございました。
ちなみにの返信の返信
投稿者 あまくさ 投稿日時: : 2
なるほど。ボトムズはそういう話なんですね。ありがとうございます、機会があったらチェックしてみます。
ところで(お分かりとは思いますが)、私が換骨奪胎と言う場合は、多くの人を感動させる物語があるときに、その感動の元になる共通要素を抽出するみたいなことを指しています。
カリオストロで人気のあるシーンを二つあげると、「今は、これが精一杯」「やつは大変なものを盗んでいきました。あなたの心です」。どちらも主人公とクラリスの関係性の変化を描いています。
「優しい泥棒」→「純粋さ故に人間の本質的な優しさを素直に見抜いてしまう美少女」→「世間知らずの素直さに危うさを感じ、身を引く泥棒」
こういう流れになっています。で、ルパンを執拗に追い回す銭形みたいなキャラが、ルパンのそういう一面をちゃんと見ているっていうのもグッとくるんですね。
ここまで還元すると、この構造に別のキャラを代入してやればプロットはできてしまいます。
大野さんなら言うまでもないと思いますが、それはパクりではないんですね。
他人の作品を労せずに借用するのがパクりですから、変換作業に手間暇・技術・オリジナリティが加えられていればパクりではないし、そもそもそこまで換骨奪胎した作品は赤鬼とボトムズくらい違ったものになるので、言わなければ気づく人はまずいません。
ちなみにローマの休日。
ヒロインは王女様なので、めちゃくちゃ世間知らず恐いもの知らずに無謀な行動に走ります。そのハラハラさせるような天然っぷりが可愛いんですね。主人公はそれにほだされてしまうという流れ。
ローマの主人公が身を引くのは、まあ身分違いだからなのですが、ドラマとしては最後の共同記者会見のシーンがクライマックス。大勢の人々の中で、二人だけで通じ合う有名なシーンがあります。王女は主人公に想いを伝えようとし、主人公は王女の純粋さを守るために身を引くというのが現実はさておき「創作的真実」なのだと思います。
ラストシーンで主人公は両手をポケットに入れて立ち去りますが、これがズボンのポケットの唯一正しい使い方だと思ってしまったほどです。
* * *
他の方への返信に、
>俺自身がそういう書き方をしている事には自覚もあるし、なんでそんな人間になっちゃったかは自覚もあるので、
とあり、すみません興味をもってしまいました。
不躾かもしれませんが、なんでそんな人間になっちゃったのか聞いてみたかったり。
もちろん差し支えなかったらでかまいません。
* * *
スレの論点にもどすと、エンタメ作品には感動を作る基本要素があった方が良いし、それを見定めたら基本要素に効果的ではないアイデアや設定は盛り込まない方がよいと。なので「気の抜けるおふざけ」もそういう視点から必要か不要かを判断すればよいのだと思います。
今後もご活躍をお祈りします。